2006年02月17日08時30分
学校法人「佐藤栄(さとえ)学園」(さいたま市)の佐藤栄太郎理事長(78)が、03年までの7年間で約5億円の所得の申告漏れを関東信越国税局に指摘されていたことが分かった。学園も税務調査を受け、2億円近くの申告漏れを指摘され、理事長個人と合わせた申告漏れ総額は約7億円にのぼる。追徴税額は、悪質な所得隠しにかかる重加算税などを含めて約3億円。年間約20億円の補助金を受けてスポーツの名門校や進学校、法科大学院大学など計12校を運営する学園と理事長が巨額の不正経理をしていたことになる。理事長と学園は税務調査や課税処分の事実を否定している。 佐藤理事長は、母親が開校した自動車整備学校を母体に71年、現学園を設立した。学園は甲子園出場経験がある埼玉栄高と花咲徳栄高、進学校の栄東高など小、中、高校、短大、大学、専門学校の計11校を運営する。04年春には第二東京弁護士会と提携して大宮法科大学院大学を開校した。運営校の児童・生徒、学生の総数は約1万人。 関係者によると、佐藤理事長は、学校で使う事務用品などを仕入れる際、取引先に選んだ数社から金銭を受け取りながら、税務申告から除外していた。国税局は、発注の見返りのリベートで理事長個人の雑所得と判断したとみられる。さらに理事長は、個人的な貸し付けの利息なども除外していたとされ、国税局はこれらを意図的に所得を隠したと認定し、重加算税の対象とした。リベートや貸付利息など所得隠しとされた金額は7年間で約2億9000万円にのぼった。 また、理事長は学園の資金を7年間で2億円余り使っており、国税局は学園から理事長への賞与と認定、加算税を含めて追徴課税したとみられる。 一方、国税局は学園も調査した。関係者によると、学校の修学旅行などの際、生徒の保護者らが旅行業者に払い込んだ旅行代金の一部が業者側から学園に渡っていたことが判明。学園が業者と生徒らの契約を取りまとめた手数料として業者側から継続的に受け取っていたとされる。 学園は税制上の優遇措置を受ける公益法人のため、法人税法が定める収益事業の所得だけが課税され、修学旅行で所得が生じても本来は非課税になる。しかし、国税局は、学園が旅行業者と同様の業務をしていたと判断し、収益事業の「代理業」と認定。課税対象の手数料を意図的に申告から除いたとして、04年3月期までの7年間で数千万円の所得隠しを指摘したとみられる。 このほかに経理ミスなどもあり、学園の申告漏れは2億円近くになったという。 朝日新聞記者の取材に対し、佐藤理事長は個人所得について「税務調査や課税処分の事実はない」と話している。また、学園の法人所得に関し、蓮見弘総務・経理担当理事は「朝日新聞が指摘するような事実はない。国税局から04年秋、『事務の流れを教えてほしい』と言われて説明した事実はあるが、税務調査を受けたという認識はない」としている。 |
(上記はasahi.comニュースより抜粋)